愛の距離がハカレナイ
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それから1週間ほど過ぎた頃。

「今晩、南川課長と食事に行くのね。」

香澄が隣のデスクから、こちらを見てにっこりと笑った。

「うん。祐介が来た日以来、お誘いが激しくてね。行かなくても良いのなら、上手にスルーしようと思っていたんだけど…。」

「今の状態の阿里なら、南川課長は引かないだろうね。」

そう、香澄が言う通り、傍から見ても私はいつもの元気を取り戻していた。

何より私の気持ちが軽い。

「良かった。」

ポツリと香澄が言った。

「本当にどうなっちゃうんだろうって思っていたから。」

「ありがとね、香澄。」

こんな時、上手な感謝が伝えられないのは、なかなか情けない。

「でも水島は声だけで、阿里の状態を判断して戻って来たのだったら、凄い愛よね。」

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