また君と恋する

引っ越し当日。

「由麻ちゃん。忘れ物なーい?」

「ないよ」

虹心(にこ)ちゃんは、忘れ物ないかなー?」

「なーい」

「それじゃあ、出発進行ー!」

引っ越し業者を見送って、母と4歳の妹、虹心と共に家を出た。

新しく引っ越す先は、今まで住んでいたアパートと駅1個分の距離でそこまで遠くない。高校にも近くなった。


『みんなでシェアハウスしよう!』

お母さんから突然告げられた言葉。

詳しく聞くと、老夫婦が家主の戸建て住宅で、ファミリーで暮らせるシェアハウスを始めるらしく、その募集を見て早速内見に行ったという。

入居条件は、シングルマザーかシングルファザーであること。

他人と暮らすのはちょっと気が引けるなぁ。

……なんて思いは一切なく、「楽しそう!」という思いが勝り、悩むことなく了承した。
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