花筏に沈む恋とぬいぐるみ



 「そんな事があったのか………。花ちゃん、大変だったね」
 「………今は冷静になったから大丈夫。クマ様に話を聞いてもらったから」
 「………」
 「全ての情報を知らない人や、デマの情報を信じて不安になっている人もいるだろうね。それにone sinは高級ブランドだ。そんな所で買い物をする人は地位が高い人だろうから、世間体とか高いものをするから不安っていう事もあるだろう。……家族まとめて犯罪者扱いってのは、俺は気にくわないけどね」
 「不安、になる気持ち、わかるから。それも理解したいけど……?どうしても悔しくて」
 「そうだね。頑張ろうって思って矢先に出鼻をくじかれたんだからね。そう思ってしまうのも仕方がないよ」

 凛は花の気持ちを受け入れつつ、眉を下げながら心配そうに話を聞いてくれる。
 花は隣に座るクマ様の頭や手をついつい触れてしまう。やはりクマ様に触れると安心するのだ。


 「………お父様の事も嫌いたくない。けど、どうしてもお父様のせいで、と思ってしまう自分も嫌で……。そんな風に思わないように許したはずなのに。お父様の分まで頑張るつもりなのに」
 「………お父さんの分まで、頑張らなくていいんだよ」
 「え……」
 「君がお父さんの罪まで背負う必要はないさ。君のお父さんは確かに悪いことをしたかもしれない。全ての人の傷を治すことは出来ないけど、その罪を背負ってそして償おうと最後まで頑張っていただろう。だから、もういいんじゃないかな。それに、罪はお父さんのものだ。君のものじゃない。花ちゃんは、花ちゃんのために生きていいんだよ」
 「………クマ様と同じような事、言ってくれるんだね」 

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