大藤に連れて行かれたのはフレンチのお店だった。名前を伝えると、個室に案内される。

「フルコースでしょうか……」
「可能性はありますね」

ワンピース着てきてよかったぁ、と心から思う由佳だ。
場違いかも、と承知していながらその場に居続けることほど、気の向かないことはないからだ。

「まあ、あなたは気楽にしていてお食事でも楽しんでいてください。面倒な相手は私がしますから」
「ありがとうございます」

確かになかなかに敷居の高そうなお店だし、あくまでも身代わりというか代理なのだから、気軽にしていればいいか。

「受け答えも私がしますから、あなたは適当に誤魔化していいですよ」
「分かりました」

さほど大変なことを押し付けられるわけではなさそうだ。
それならば高級フレンチを楽しむのもあり、なのだろう。

ギャルソンに案内されて、部屋に通される。
部屋の中には貫禄のある男性がいた。大藤を見て、席を立つ。