だからこそ、大藤がこんなに由佳が欲しい、と思うことが不思議で仕方ないのだ。

今までは、本当に成田の家が全てだったから。

カーテン越しの柔らかな陽射しの中、目を閉じている由佳は、本当にとても綺麗だと感じる。
真っ白でキメの細かい肌と、柔らかそうな頬。

こんなに綺麗で可愛くて……なのに、いつも一歩引いているような奥ゆかしさがあって。

自分に魅力などない、となぜか頑なに思っている。

大藤にとっては、最初に出会った時の反応から、その後思い出した食堂での自然な笑顔も、
そして、身体も仕草も、何もかもが目を惹き付けられて止まないのに。

さらさらの絹糸のような髪が、その頬にかかっていて、大藤はそれを指でそっと除ける。

由佳に向けるその柔らかい表情は、大藤本人ですら気付いていないものだ。

大藤は、由佳と出会った時のことを思い出していた。

あんな風に出会ったのに、恋人のフリに付き合ってくれると言った。
それも妙に落ち着いていて、『最低!』と罵られた大藤に『見ていませんよ。』と。

あのとぼけた表情は可愛かったなあ、と思うのだ。
少なくとも、どうせ私は最低ですから、と自嘲気味だったあの時の自分には、なおさら。