友達作りは計画的に

デビュー

部活は平日に規定回数出席しているので土日は部活も休んで家でゴロゴロしていたが、中学卒業してからは現役ほどではないが毎日筋トレはやっていてナッチーに言われてからは強度を上げていたのだが、斉藤との賭けは本当にやるのかはまだ半信半疑だったのけど久しぶりに現役当時の回数にしてやってみた



『うぅ~っ 久しぶりだとちょっとキツイけどそこまで大変でもないし、とりあえずしばらくはこれでやってみるか
でも本当に4連勝したら……ムフフッ
とりあえず真剣に筋トレだけはやっとこ~っ』



明らかに学校のトレーニングよりキツイ筋トレを現役当時の1・5倍にしてやってみた



月曜日に学校へ行き、朝は特に何もなかったがお昼休みも終わりかけの時間に柔道部の一年生内のキャプテンの佐々木と新藤が岡崎の教室にやってきた



佐々木は一年生ながら身長が180センチ以上あり体重も120キロくらいある巨漢で、もう1人の新藤は彼を一回り小さくした程度だが巨漢なので二人が教室に入ってくると目立ちすぎて注目が集まってしまう


『あいつら何しに来たんだ?
とりあえず目立つから他人の振りしとこ』


岡崎は彼らに背中を向けて気付かないふりをしていたのだがナッチーが「岡ちゃ~ん 柔道部来てるよ」と大きな声で言うのですぐにバレてしまい二人は巨体を横向きにして狭そうに机の間を通って寄って来るとナッチーの前に座っている富田を見た途端に顔を赤らめた


「とと、と、富田さん……
ぅぅぅ……近くで見たら…い、一段と…か、可愛い……」


二人が真っ赤になってあたふたしていると富田は機嫌よく「よっ!デカイね」と軽く手を上げて笑うと「や、や、や、ヤバいくらい笑顔可愛すぎる……」と岡崎の事を忘れてデレデレとした表情になっていて、富田に巨漢二人の目立つ三人が目の前にいると教室内以外からも注目されてしまうので彼らには早めに帰ってほしい岡崎は面倒臭そうに切り出した


「て言うか何の用だったの?
部活の呼び出し?」


すると佐々木はデレデレした顔のまま思い出したよう岡崎の方を向くので思わず笑ってしまったが、彼らは何か不安そうな顔になった


「そうそう……
あのさ、岡ちゃんて試合に出る気になったって本当?」



まだ迷っていたので彼らにその話はしないでおこうと思って内緒にしておいたはずだったのに、いきなりその話を切り出されたので岡崎は焦った

しかしこの話を知っているのは斉藤しかいないので、彼女を探して教室内を見回したが姿が見当たらず、ふと出入口を見るとヒョコッと口を押さえて顔だけ出して斉藤がニヤニヤしながらこちらを見ていた



「やっぱりあの人か?」



岡崎が半笑いの呆れ顔で斉藤を指差すと彼らは朝の電車で斉藤さんから聞いたらしく、それを聞いて岡崎は軽く斉藤を睨むとゲラゲラと笑いながら「見つかっちゃった~」と口を押さえながら岡崎の席に近ずいてきた



「せっかく言わずに『出れなくて仕方ない』で済まそうとしてたのに……」


「やっぱりな~
絶対岡ちゃんはその手を使うと思ったから私が先に話しといてあげたの
超優しい私~ アッハッハッハッ」



すると今まで笑いを堪えていたナッチーと富田は岡崎が登校する前にその話は聞いていたようで、お昼中に彼らが来ると言っていたので岡崎を席に引き留めていたのだと言ってナッチーは机を叩いて爆笑していた



「アハハハハハハッ
どうせ負けるんだから、試合終わったら諦めてしっかりと由美の奴隷をしなさいよ~」


「ナッチー、ムカつく~っ!!
で、お前らは何の用で来たんだよ?」



ナッチーに言ってもどうせ堂々巡りのやり取りになるので八つ当たりのように佐々木達を見ると、彼らは斉藤をチラ見しながら「斉藤さんからは5試合出るって聞いたけど本当にいいのか聞きにきたんだけど」と岡崎の反応を気にするように言ってきた


「5試合?
いやいやいや……だってお前ら特待生組が出るだろ?
俺は1試合か2試合でいいよ」


「違う違う
俺がメンバー決めるんじゃないって」


佐々木が言うには、最初の合同チームとの1試合とレギュラー組との試合は一年生でメンバーを決めるのだが、残りの試合は先輩達から自分の対戦相手を指名して一年生メンバーが決まるらしい


「あぁぁ~ そういう事か……
ん~ まぁ俺は期待されてないから指名されないだろうし、それなら別にいいよ」


すると佐々木、新藤、斉藤は顔を見合せてニヤッとして岡崎を見た


「何ニヤついてんだよ……お前らキモイ……
て言うか斉藤さんがまた何か悪巧みしてそう」


「失礼な!
でももう先生にも先輩にも一年生全員出るって報告しちゃったからドタキャンはもう出来ないからね」


「え……先生に言っちゃったの?」


「うん もう決定したからね
佐々木、このお気楽バカに例のモノを見せてやりな」


「ウッス」


まるで斉藤の手下のように佐々木がポケットから紙を出して机に置くと、富田とナッチー以外にも周りにいたクラスメイトの男女も岡崎の机に寄ってきて覗き込んできた



「んん? 何これ?」



そこには先輩達の名前が書いてあり、矢印で対戦希望の一年生の名前が書いてあったので岡崎も見てみると、5試合全てに岡崎の名前が入っていた



「ぇ…ちょ……えぇ?
何で?
て言うかいつ決めたんだよ」



斉藤が朝練の時間の電車で佐々木や柔道部の先輩達と一緒になった時に「岡ちゃんが出るって言ってた」と先輩達にも話をしたらしい


『本当に?』


『うん だって金曜日に私と約束したから『今からでも出れるなら絶対出る』って言ってたから……今からでも出れるの?』


『出れるよ~』

『あいつ俺らが言っても嫌がるくせに可愛い女子のお願いならソッコーじゃねぇか』

『岡崎だけ一勝もできないようにしてやろ
お昼にはメンバー決めるよ』

と言うやり取りがあったらしく、先輩達は何か企んでいたようで斉藤とこの巨漢二人はお昼に改めて部室で先輩達が自分の対戦希望を書いてくれた紙をもらい受けてから職員室に行ってコピーをしてから先生に渡してきて今帰ってきた所だと



「何で勝手に……て言うかこの対戦相手は悪意しか感じられないんだけど」


「そんなの俺は知らんがな
お前が駄々捏ねてたから悪いんだろ
先生にも出しちゃったし先輩からのご指名だからもうやめるのはダメだからな!」


覗き込んできたクラスメイトも一連の流れを聞いていたので内容は理解していて、相手の強さはわかっていないが困り顔の岡崎を見て爆笑して囃し立ててきた


「岡ちゃんガンバっ!
アハハハハッ」

「アハハハハッ
岡ちゃん全試合出るの~?
超モテモテ~」

「サボってるから悪いんだよ~
先輩達も確実に岡ちゃんで一勝できるから選ばれたんでしょ」


すると新藤が岡崎の肩をバンッと叩いて
「まぁそういう事だ
岡崎様、先輩からカモられてるんじゃないっすか?」
と言ってバカにしたような笑いをすると佐々木も「まぁ舐められてるってのは明らかだろうな」と含み笑いをしながら言った



「……チッ……
まぁ他の先輩はわからないけど二年生のケンちゃんだけはマジでそんな気がする……
ケンちゃんだけは本気でやろ
え~っ でもマジで俺が5試合もするの?」



対戦相手を見ると正直五人の内、三人には勝てる自信はあるが二人はたぶん引き分けかな?というメンバーだったので相手に対しては少し胸を撫で下ろした気分ではあったが、それを表情に出すとまた何か仕組まれたりされそうなので苦い顔で対戦が組まれた紙を見ていた



「もう決定だから負けたくないなら練習に出ろよ」

「て、事で富田さん達も見に来るって言ったら先輩達も本気でやるって言ってたから岡ちゃんは斉藤さんの奴隷の準備しとけば?
アハハハハッ
じゃあな」


「二人ともご苦労様~
じゃあね」

賑やかな教室内で一際目立つくらいに爆笑するこの集団から逃げるように二人は帰ろうとすると富田から声を掛けられ、真っ赤な顔になり嬉しそうにノシノシと教室を出て行き、
残っているクラスメイトからは「見に行くから不甲斐ない試合しないでよ」とゲラゲラ笑われていた

そして富田は岡崎の机にお尻を乗せて見下ろすように首を傾けながら呆れ顔で言った


「由美とご飯を食べに行きたい下心だけで調子に乗ってあんな約束をするからでしょ~
おバカちゃん」


富田の話に周りの女子も笑いながら口々にからかって言ってきたが、とりあえず不甲斐ない試合はしないで済むと思っていた岡崎は困り顔で愛想笑いをしなが早く放課が終わってくれと思いながららうなだれていた



しかし一番心配していた斉藤との約束内容を『ご飯に行く』事にして話している事がわかったので少しだけホッとしながらも困り顔で斉藤を見ると彼女は「あーん 岡ちゃんとご飯行きたいなー 頑張ってね」と台詞口調で言って笑って岡崎の頭を撫でてきた



「はぁぁ……絶対そんな気ないじゃん……
何かムカつくから本気でやってやる」
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