脆姫は過去に生きる
「私たちが紅姫とお呼びするのは最後です。この婚姻の儀が終われば、紅姫は紅妃と呼ばれますゆえ。」
御影さんも嬉しそうに私を見守ってくれている。

まだまだ実感がわかない。

「行きましょう」
私は御影さんと富さんと共に鉄王の待つ場所へと向かった。

「きれいだ」
私を見た瞬間、鉄王は私の方に近づきそんな言葉を告げてくれた。

「準備はいいか?」
「・・・はい」
「体調が悪くなったらすぐに合図をするのだぞ」
「はい」
心配そうな鉄王。
私の体調は安定している。ただ緊張しているだけだ。
私は鉄王に手を伸ばし、その力強い腕に自分の手を絡めた。
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