脆姫は過去に生きる
「これからは妃として私と共にこの国の母となり守ってほしい。」
「はい」
「覚悟はいいか?」
「はい」
咲さんの顔を思い浮かべながら頷く。
「まずはお腹の子を無事に産み、咲も健康であってほしい。」
「はい」
「そなたがそばにいてくれるだけで私は強くあれる。」
「はい」
「愛している。心から、いつも咲を想ってる。」
「私もです。」
鉄王は婚姻の儀がはじまる前に、私への気持ちを言葉にしてまっすぐに伝えてくれた。

「私でいいのですか」
最後に聞きたかったことを鉄王に言うと、鉄王は驚いたように目を丸めてから、穏やかに微笑み私の頬に大きな熱い手をあてた。
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