脆姫は過去に生きる
「私のせいで・・・」
泣きながら話す私に鉄王は私をそっと抱き寄せる。
「私のせいで富さんは・・・」
私がいなければ富さんは命を落とすことがなかったかもしれない。

あの日・・・
私がこの世界に来た日。
あのまま紅姫が亡くなり、私がこの世界に来なければ違う運命があったかもしれない。

誰にも真実はわからない。
現に、信じられないようなことがたくさん起きている・・・。

「咲のせいではない。これは誰のせいでもない。これが富の運命だったのだ。きっと。」
そう言っている鉄王も誰よりも責任を感じているはずだ。
「私がいる。大切な人を失って苦しく切なくても。私は変わらずそばにいる。」
「でも・・・苦しくて・・・たまらない・・・っ」
背中をゆっくりとさすってくれる鉄王の大きな胸にしがみつくようにして私は涙を流し続けた。
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