脆姫は過去に生きる
お腹の子のためにもどうにか自分の気持ちを立て直そうとしているのに、うまくいかない。

「咲」
王は公務を寝室でこなしたり、公務室の扉も常に開けて私の状態を確かめてくれている。
一緒に寝不足になっている。

「少しでも水分をとったほうが良い。」
私の背中を支えながら、鉄王が口元までグラスを運んでくれる。

「・・・っ・・・」
私はすぐに吐気を感じ、顔をそむけた。
「だめか・・・」
鉄王は私の背中をさすりながら、グラスを寝台の横にある机に戻した。

「何もできないな」
悔しそうな顔の鉄王。
私は首を横に振り鉄王の大きな手をギュッと握る。
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