余りもの王女は獣人の国で溺愛される
第四章

 バルコニーから見えた離宮は王宮から見れば小さく感じるが、それでも立派な建物で王宮同様に外に面した窓がとても大きく作られている。

 玄関ホールへのドアもとにかく横幅も高さもあるので、到底自分一人で開けられない。
 しかし、獣人族であろう騎士や衛兵の方たちは簡単そうに開けるのだ。

 もしかしたら私でも開けられるのかも、なんて少し軽く押してもダメでした。
 好奇心で開けてみようと思ったのだけれど、まったく開けることはできなかった。

 そんな私の様子に一緒に待っていたリエナも押してみたが、人には重すぎてどうにもならないことが判明したのだった。

 それについては聞かなければと思っていた私は、離宮に入りプライベート用であろう落ち着いたサロンでお茶をもらうことになり、ソファーに腰かけたところでリヒャルト様に問いかけた。

「リヒャルト様。聞いてもよろしいでしょうか?」

 そんな私の問いかけに、リヒャルト様はにこやかに応じてくれる。

「あぁ、なにか気になることでも?」

 柔らかな応対に、私はギャレリアの建物のつくりについて問いかけた。

「王宮もこの離宮も、ドアや窓が大きく作られていますよね。 とても大きくて、私ではドアや窓を開けることができそうにないのですが、ギャレリアの皆様は普通に開けていたので、どうなっているのかと思いまして」

 私の疑問にリヒャルト様はしっかりと答えてくれた。

「ギャレリアの王宮とこの離宮はね、王族である竜族が使うことを前提に作られているんだ。つまり、万が一竜体であっても、壊さず入ることができるように天井も高くドアも大きく作られているんだ」

 その返答に、ようやく理解する。

 ここは獣人族の国であり、この王宮は竜族ありきで考えて建てられたのだ。
 先ほど見た王妃様のような竜体のままでも室内に入れるように、サイズ感も頑健さも大丈夫なように作られていたのだ。

 では私はどうやって移動したり、過ごせばいいのだろう。
 基本、部屋の中やそこに連なるドアは人型仕様になっているものの、外につながる場所はみんな竜体仕様なのだから、私は建物の外に一人で出ることができないのだ。

「基本的にはマジェリカには騎士が護衛についているし、こちらの国の侍女やメイドもつくから外に出るときはお願いすれば出られるよ」

 自分でできなくても周囲が助けてくれるということで、とりあえずの問題は解決となったのであった。
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