「美鈴? 入るぞ?」

「……お父さん?」

 夜の10時過ぎ。仕事から帰ってきて部屋に入ってきたお父さんは、ベッドに座っているわたしの隣に腰掛けて、こう話した。

「美鈴。高木原さんから、交際の申込みがあったそうだな?」

「……うん」

「申込み、受けるのか?」

「……ちょっと考えたい」

 そう話したわたしに、お父さんは「そうか」と答えた。

「美鈴の人生だ。自分で決めるといい。……もちろん、美優紀も俺も美鈴には幸せになってほしいと思ってるから、美鈴がもし高木原さんとの交際がイヤだと言うなら……。まぁ、無理にとは言わないけどな?」

「……お父さん」

「美鈴の人生だ。俺たちが口を出すことではないとは思うが、お父さんは美鈴のことが心配なんだ。だから、美鈴がちゃんと幸せになれる道を進んでいってほしいと思ってるよ」

 初めてだった。お父さんがこんな言葉を口にするのは。だけどお父さんも、ちゃんとお父さんなんだなって思った。 正直、いつも仕事ばかりで忙しそうにしていたから、わたしのことなんて興味ないのかと思ってた。