私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

35.根を腐らせる







目の前に現れたもの、その存在が信じられなくて、しばらく氷のように固まったままでいた。



『……ここにいる神族は皆、喰らい尽くしてもいいと言ってたな?』



冷ややかな声の持ち主は、屈強な体をした一人の男性だ。

……いや、人のカタチをしている。

だが、体から滲み出ているものは……悍ましい魔力だ。



まさか、どうしてこんな……こんなの出てこられたら、勝ち目はない。

人型の魔族なんて……!




この大広間にひしめく『魔獣』という獣のカタチをした魔族は、魔族の中でも知能がほぼ無く、神力や『人』の匂いを辿って、私たちに本能のままに牙を剥く。

しかし、この『人型』といわれる魔族は、そんな魔獣と違って……知能がある。

我々神族と同じく、理性を持って戦いに投じ、神族や人を捕食対象として襲うのだ。

そして、戦闘能力も魔獣とは比べ物にならないほど強い。

各地域の討伐遠征でも、この人型の魔族が一匹いるのとでは、被害も格段に違うのだ。

そんな、遥かに強い人型の魔族が……ここに、目の前にいる。



何故、とは言うまでもない。

架威の召喚した【紫の門】から、人を喰らいたいがために参上したに過ぎない。

< 337 / 461 >

この作品をシェア

pagetop