お見合い相手から溺愛されて困っています。

お見合いの後何もないまま2週間が過ぎた。

そんなある日の夕方、急に桜木さんは現れた。

カナちゃんの喜ぶ声が聞こえた。
カナちゃんが注文を取りに行こうとテーブルに向かうと何か話している。
私は気にせずに他のお客様の対応をしているとカナちゃんが近寄ってきて声をかけてきた。

「あかりさん、お客様がお呼びです。次に3番に回ってもらえますか？」

3番？
ふと顔を上げると桜木さんのテーブルだった。

彼は笑顔で手を振っている。
　
カナちゃんは私と桜木さんを見てニコニコと笑っている。

「お待たせ致しました。お伺いします。」

「ブレンドとチーズケーキを1つ。あとあかりちゃん1人お願いします。」

「ブレンドとチーズケーキですね。お待ちください。」

私は「あかりちゃん1人」は聞かなかったことにしてさらっとテーブルから離れた。

それを見て桜木さんが苦笑している。

もうっ！

コーヒーとケーキを持っていくと桜木さんはありがとうといい飲み始めた。
「あかりちゃんは今日何時まで？」

「6時です。」

「よかった〜。じゃ、それまで待ってるね。」

「なぜ？」

「ご飯に誘いたいからだよ。」

「無理です。」

「なぜ？」

「…」

「ご飯くらい一緒に行こうよ。やっと仕事が落ち着いたんだ。あのあと弟に副社長交代をお願いしたんだけど無理だと断られちゃってさ。しかも弟にあかりちゃんのせいでめちゃくちゃ怒られたよ。どうしてくれるの？」

えぇー！
本当に副社長の肩書を捨てようとしてたの？
私はあまりに驚いて声が出なかった。

「でもダメだって言われたからさ。俺、副社長辞められなくなっちゃったんだよ。ごめんな。」

私のせいで副社長を辞めようとしていたなんて腰が抜けそう…

「でもさ、副社長のままだけどあかりちゃんと仲良くなりたいからご飯に行こうよ。」

そんな話をしていたらカナちゃんとメグちゃんが近づいてきた。
「桜木さん、私たち一緒にご飯行きたいですー！」

「ごめんな。あかりちゃん限定なんだ。」

「えー。いいなぁ。私たち桜木さんともっとお話ししたいです。3人で行ったらダメですか？」

「だーめ。あかりちゃん限定。俺はあかりちゃんに惚れてるからさ。」

ハッキリというその言葉に2人はニコニコしながら、
「そうでしょうね…。」