そもそも俺があかりちゃんと知り合ったのは1年前。

俺は会社に近いこのカフェでコーヒーを飲むのが好きだ。
ハンドドリップで丁寧に入れられたコーヒーはとても美味しい。
この店を見つけてから何かあるたびにくるようになっていた。
ちょうど副社長に就任したばかりで肩の荷が重くのしかかっており息が詰まりそうな毎日だった。
そんな時に飲むコーヒーで一息ついていた。

ふと見回すと何人かスタッフがおり、1人の女性に目が止まった。

彼女は客の好みを聞くと的確なアドバイスを与える。だが、決して上からではなく客の気分を害さないような言い方をしており接客された客も楽しそうに話している。彼女はきっと経験が豊富なんだろう…。
年配の女性が入ってくると冷房の弱いところへ誘導し、若い子が入ってくると年配の人とは違うブースへ案内している。
彼女なりにお互いの距離感を測りお互いが気持ちよく過ごせるようにしてるのだろう。
彼女のことを気に入ってる顧客もいるようで時折話している姿も見かける。
とても親切で温かみのある接客に好感を持っていた。
俺も話してみたいと思うが彼女は絶対に俺の注文を取りに来なかった。
今日こそは、と思って彼女に注文をしたいアピールをするが必ず別の子が来てしまう。
避けられてるのだろうか…そう思うほどに彼女との縁はなかった。