年下のかわいい後輩くんが彼氏になりました
◎ やきもち?


毎朝、斉藤くんと登校しているけど、学校で斉藤くんに会ったことは無い。

今までは特に気にして探すこともしなかったから、会わないのは当然なんだけど。

彩にあんなことを言われたからなのか、私が会いたいと思っているのか、自分でも分からないけど、今日はずっと斉藤くんに会えないかな?って学校内を気にしている。


お昼になり、彩が彼氏の翼先輩とお昼を中庭で食べる約束をしていると言うので、私は他の友達とお昼を食べようと思っていたら、

「彼の友達も来るから優菜も一緒に付き合って!お願いします」

そう彩に頼まれて、渋々承諾して中庭でのランチに付き合った。

外は空気が澄んでいて、優しく吹く風が気持ちいい。

外でランチするならこの季節が一番いいかもね。

なんて、呑気に考えていたら、翼先輩のお友達が自己紹介してきて。

「優菜ちゃん、俺、翼の友達の隼人です。よろしくね」

「はぁ。こちらこそです」

なんとなく気のない返事をしてしまう。

やっぱり彩のお誘いは断ればよかったな。

彩と翼先輩。私と隼人先輩。4人でいたら自然とこんな組み合わせになるよね。

しかも何故か隼人先輩と2人で一つのベンチに座ってお弁当を食べるみたいで。

「優菜ちゃんってさ、付き合ってる人いるの?」

「いませんよ」

「好きな人は?時々一年生と登校してるのを見かけるんだよね。あの子のこと、好きなの?」

「な、なんでそんなこと知ってるんですか?私のこと、知ってたんですか?今日初めて会ったのに」

さっき彩に隼人先輩を紹介されたのが”はじめまして”だったよね?

「話をするのは初めてだけどさ。優菜ちゃんのことは知ってたよ。俺たちの学年でも話題になってるしね」

「え?三年生に何を話題にされているんでしょうか?」

「下級生でかわいい子がいるって噂になってるよ。その子の友達が翼と付き合ってるからってさ。翼と彩ちゃんに優菜ちゃんのことを紹介して欲しいってお願いしてるヤツ、多いんじゃないかな」

「彩、そんなこと一言も言ってなかった。じゃ、これって翼先輩と彩からの紹介ってことなんでしょうか?」

「んー。そこまで考えないで。ただ俺が優菜ちゃんと話をしてみたいって思っていただけだから」

「ちょっと彩と話があるので、すみません」

隼人先輩に一言断って、彩のところへ。

「ねぇ、彩。もしかして隼人先輩に私のことを紹介するって言ってあるの?」

「ごめん、優菜。隼人先輩にどうしても!って言われてさ。悪い人じゃないんだよ。むしろ凄く良い人なの。だから断れなくて」

彩からの紹介だったなら、変な態度は取れないよね。

「それに、この前斉藤くんへの気持ちを聞いたでしょう?まだ優菜が中途半端な気持ちで斉藤くんと一緒にいるのなら、斉藤くんじゃなくて隼人先輩とお付き合いしてみるのもアリだと思うんだけど」


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