年下のかわいい後輩くんが彼氏になりました

ある雨の日の朝、傘も差さずに家の門の前に立っている斉藤くんを見つけて、

「斉藤くん、傘は?濡れちゃってるじゃない。この傘持って。それからちょっと待ってて」

私は家にタオルを取りに戻り、もう1本傘を持って玄関を出たら、

「傘は1本で大丈夫だから。俺、本当は傘持ってるし」

なんて斉藤くんが言うから、2本目の傘は家に戻して。

斉藤くんの制服をタオルで拭いてあげながら歩き出すと、しばらくして斉藤くんが

「本当は傘持ってないんだよね。だから相合い傘してこ」

「なに、その確信犯は」

そう言いながらも私の顔は赤くなって。

「もっとそばに来てくれないと、濡れちゃうよ」

そんなことをサラッと言う斉藤くんはなんだか私よりも大人に見えて。調子が狂う。

学校に着いたとき、斉藤くんの右肩がびしょ濡れになっていることに気付いて、傘の中で斉藤くんに近寄らなかったことを少しだけ後悔した。

その日から雨の日は1本の傘で二人並んで登校するようになったんだけど別に嫌じゃなかった。

そして最初の雨の日に学習したから傘の中で斉藤くんまでの距離を縮めて。

私の右肩と斉藤くんの傘を持っている左腕が時々触れて、そのたびに胸がキュンと鳴いた。


学校までの20分、毎日私たちは色々な話をしながら登校した。

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