攻め込んできたヴハ王国との戦は、あっけないほどに終結した。

(これって、喧嘩を売った相手が悪かったってことなんだろうなぁ……)

 うかつに防壁に近づけば、上から何が入っているのかわからない泥団子を投げつけられる。街中への侵入を果たすことができたのはごくわずか。そして、彼らは全員、サージ達ベイティス騎士団とムラトによって、囚われの身となった。
 昼の戦いで疲れた身体をいやす間もない。夜になれば吸血鬼に襲われ、野犬が食料を食い荒らすのだ。これでは、勝ち目はないと判断したのだろう。
 リーゼを子供の領主として、容易に勝てると思った相手が甘すぎたのだ。リーゼの周囲には、頼りになる仲間がたくさんいる。
 彼らが白旗を上げるまで、十日とかからなかった。
 アルダリオンが、手を貸したというのも大きかったのだろうが、事後処理は、驚くほどスムーズに進められた。

「本当に、こんなに小さな娘さんが領主だったとは――」

 デリモの領主が、幼い子供だという情報は、やはりヴハ王国に伝わっていたようだ。司令官は驚いたようにリーゼを見ていた。