おかげで、母とフランチェスカからの手紙は、三日に一度リーゼの手元に届く。もう少しフランチェスカが大きくなって、馬車での移動に耐えられるようになったら、デリモに遊びに来てくれるそうだ。
 手紙によれば、かつて父だった人は娘に対する扱いのひどさが表ざたになったこと、聖女を聖女と見抜けなかったことから、すっかり宮中での影響力を失ってしまったそうだ。
 今では嘲笑の対象となって、すっかりしおれているらしい。
 母とフランチェスカにその影響が及ぶのではないかと心配していたけれど、神殿関係者達が二人を守ってくれている。
稀有な回復魔術の使い手である娘と、豊穣の手を持つ母。二人は、公爵とは別の存在として、受け入れられているようだ。

(私は、聖女なんかじゃないけど……)

 リーゼも、来年また公爵家に二人に会いに行く約束をしている。公爵も、リーゼに会いたがっているようだが、許すつもりはない――少なくとも、今のところは。

「リーゼ嬢ちゃん、そろそろ出かけるぞ」

 扉の向こうから、サージの声がする。