幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 そして、姉のリーゼロッテは妹以上の魔力の持ち主だった。正確な数値はわからないが、少なく見積もってもフランチェスカの二倍以上。大人でもこれだけの魔力を持つ人はめったにいないらしい。そのため、リーゼロッテの方が跡取りとして周囲に認知されている。

「あ、お父様こっちに来るみたい」

 窓に張り付いていたフランチェスカは、ぴょんとソファから飛び降りて扉の方に走っていく。リーゼロッテは立ち上がることはせず、ソファで足をぶらぶらとさせながら待っていた。

「リーゼロッテ、フランチェスカ。お客様達にご挨拶するんだ」

 扉が開かれたかと思ったら、父が大股に部屋に入ってくる。娘達よりいくぶん濃い色をしている髪は短く、そして背筋はぴしりと伸びていた。

「お父様」

 駆け寄ったフランチェスカが手を差し伸べたけれど、父は彼女の頭に手を置いただけだった。ソファでまだ足をぶらぶらさせているリーゼロッテに向けて両腕を差し伸べる。

「リーゼロッテ、こちらにおいで」
「お父様、フランを抱っこしてあげて」

 兎のぬいぐるみを抱いたリーゼロッテは、首を横に振る。
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