わずかな希望にすがり、ひたすらスキルを磨き続ける日は、急に終わりを迎えた。

「……ごめんなさい。私の力が及ばなくて」

 母がリーゼロッテを迎えに来たのは、閉じ込められてから二週間が過ぎた頃のことだった。部屋から連れ出され、浴室に連れていかれる。
 この二週間、入浴できたのは三日に一度だけ。あとは水で絞った布で身体をぬぐうだけだったから、ゆっくり入浴するのは久しぶりだった。

「私では、あの人を止められなくて……愛しているの。あなたを愛しているのよ。それだけは信じて、リーゼロッテ」

 温かい湯にほっとしていると、母みずからリーゼロッテの髪を洗い、身体を洗い、清潔な衣服を着せつけてくれる。その間も、母の謝罪の言葉はとまらなかった。

(……ん?)

 着せられた服を見て、リーゼロッテは疑問を覚えた。
 清潔ではあるが、今まで着ていた貴族令嬢の服とは少し違う。上質の品ではあるが、そこそこ裕福な平民が身に付けるもの、という程度だろうか。

(どこかに養子に出すとか……そんな感じになったのかも)

 スキルを授かった直後は処分なんて言葉を口にしていたくらいだし、リーゼロッテをこのまま家に置いておくわけにはいかないと、父がそんな結論にいたったとしても不思議ではなかった。