死神は花を狂おしい程愛してる
一目で落ちる
「なぁ…蒼士。
時間ねぇんじゃねぇの?
今日、見合いだろ?」
蒼士の友人・君島 里津が声をかける。

蒼士は里津のクラブで煙草を吸いながら、スマホを操作している。
「あーめんどくせぇ~」
「でもよ、なんか楽しそうじゃね?
それに一応、社長令嬢だろ(笑)?」
もう一人友人・内山 太一も笑いながら言う。

「俺は知らない会社だっつうの!
てか…別に見合いなんかしなくても、どうにでもなるし!」
蒼士がため息をつきながら、めんどくさそうに言う。

「まぁ…確かにな!
裏の世界じゃ、蒼士は王子みたいなもんだもんな!」
「だよな…親父さん、裏の世界ではこの国のトップだもんな!」
「この国の裏の出来事は、親父さんが関係してるって言っても過言じゃねぇし……」
里津と太一が口々に言った。

~~~~~~!!
スマホの着信音が鳴る。
「ゲッ…!洋次だ……」
「ゲームオーバーだな!蒼士」
彼は生見 洋次と言って、蒼士の幼なじみで兄弟みたいなものだ。
今もずっと一緒にいる執事のような、親友のような関係だ。

また、ため息をつき通話ボタンを押した。
「なんだよ!?」
『蒼士。クラブ前いるから、早く出てきて』
「バレてんのかよ……」
『当たり前。先方が待ってるよ』
「てか、なんで俺が三十路女と結婚させられるんだよ!?
“売れ残りの花”だぞ!」
『それは、会長に言ってよ。
とにかく、これ以上待たせるわけにはいかないから』
「わかった」
通話を切って、何度目かのため息をついた。

「蒼士、売れ残りの花って何?」
里津が聞いてくる。
「は?あー相手の女、理由があって殆どパーティーとかに出てなかったみたいでさ。
それで、三十路になっても貰い手がないみたいなんだ」
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