死神は花を狂おしい程愛してる
東園の世界
「そう…なんだ。
やっぱり…怖いな……」
俯く、花楓。

その花楓の顔を両手で包み、上に向かせた蒼士。
「だからって、今更…放さないよ!」
「え…」
先程の鋭い蒼士の瞳が、鎖のように花楓を縛り付けた。
「大丈夫。花楓をあんな穢れたとこにさらけ出したりしないから。
俺が大切に大事に囲って、一生守るよ!」
花楓の顔を覗き込みながら、優しく語りかけた。

そこへ、羽山がノックをして入ってきた。
「失礼いたします。
蒼士様、花楓様。
朝食の準備ができてます」
「ん。
花楓、行こ?
昨日あんま食べなかったから、腹減ったな!」
「うん」
ダイニングに移動すると、やはり大きな円形テーブルに椅子が二人のくっついていた。

並んで座り、朝食をとる。
「フフ…今日も可愛い…花楓」
やはり蒼士は食べずに、頬杖をついてジッと見つめている。
「蒼士さん、恥ずかしい……
それに、蒼士さんも食べなきゃ!お腹すいたんでしょ?」
「うん。
でも、俺は食べるの早いから」
そう言って、食べ始めた蒼士。
確かに、花楓が食べ終わる前には食べ終わっていた。

そして、一度蒼士の部屋に一緒に向かい、蒼士の着替えを手伝う。
その後、花楓の部屋に行き蒼士が花楓の服を選んで、着替えさせた。
「花楓、この屋敷の中と庭は自由に動いていいんだけど、外には出ないでね?
絶対に……」
仕事に行く前、玄関で花楓に念押しをする、蒼士。
「わかった。でも、お買い物とか……」

「外には、俺と一緒じゃないと出れないよ!
それ以外は認めないから!
買い物は俺がどこにでも連れてってやるから、帰って来るまで我慢して?
わかった…!?」
「う、うん…」
そう言うと、頭をポンポンと撫でて、出ていった。
< 17 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop