志岐さんと夏目くん
想い


………

……




「志岐さんさ、去年も装飾係だったでしょ? 実は俺ね、最後まで残って作業してる志岐さんを いつも見てたんだ」

「え、そうだったの? 見られてたなんて、全然知らなかった……」

「まぁ、毎回 帰り際に廊下からチラッと見るだけだったしね」



……私と夏目くんは別のクラスだったから、当時は本当に挨拶すらしたことがなかった。

クラスの女子たちが時々 夏目くんの話をしてたから、彼の名前くらいは知ってたけどね。


でも夏目くんの顔と名前が一致したのは同じクラスになってからだ。

「これが噂の夏目くんか」って感じで。

だけど夏目くんは、一緒のクラスになる前から私を知ってたんだ……。


……なんか、恥ずかしいな。

私のことを見てる人なんて居ない、って思ってた。


でも夏目くんは違った。

夏目くんは……私を見てたんだ。


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