誰を?何を?見ているの?

☆☆兄・哲


薫とは仲の良い兄弟だと思う。
両親を亡くしてからは
いっそう二人で息をあわせて
頑張ってきた。

祖父の七光りとか
言われたくなくて必死で
頑張った。

そんな俺達に、思わぬ事態が
訪れた。

俺達兄弟は、隣に越してきた
永倉さん家の天音を
可愛がって、愛してきた。

それは、恋愛感情なのか
兄妹愛なのか、わからないほどに。

薫が、天音を愛しているのは
目に見えているのに
俺に遠慮している事が
気になっていたが·····

まさか、見合いの話を
勝手に受けるなんて·····
その上、彼方に失礼な態度を
とるなんて····
考えてもいなかった。

祖父の怒りは、激しく
今以上の売上
出来なければ失脚と。

厳しい言葉に
返す言葉もなかったが
薫が俺に相談しなかった事が
ショックだった····

だが、なんとかしなければ····

躍起になるが
成果はでない。

今まで順調にやってきて
それを今なんで?
と、関係会社に不振がられては
もともこもない。
どうしたものかと····

こくこくと日にちは、過ぎていく

そんな時に
天音が帰国して
久しぶりに和やかな
食事をとる。
料理が苦手な天音が
俺達のために作ってくれるから
それだけで、嬉しいものだ。

遅くに帰宅した薫から
思わぬ話しをされて驚く。

ここ数日?
毎日帰りの遅い薫
会社を休む事もあったが·····

結婚?佐久間のお孫さんと。

天音の事が好きではなかったのか···
そう思い訊ねたが····

明日、祖父へ報告すると
言って部屋へと戻って行った。

かわいい、何者にも代えれない
大切な弟。
たった一人の家族である弟には、
幸せであって欲しい。

それだけが俺の願いだ。
< 13 / 85 >

この作品をシェア

pagetop