誰を?何を?見ているの?

☆☆とも子


大学に入学した日に
目を引く二人をみつけた。

長身でイケメンな小川君
長い黒髪を揺らした美人の佐久間さん。

どこにいても目立っていた。

二人と同じ医学部·····

お昼にベンチに座り
一人で、食事をしていると
「隣良いですか?」
「あっ、どうぞ。」
他にもベンチあるのに
と、思っていたら
クスクスっ、笑い声が聞こえて
ん?と顔をあげると

そこには、佐久間さんがいて
「他にもベンチあるのに?
と、思ったでしょう?
右田さん。」
と、言われて
「えっ、どうして。」
と、騒いでいると
「なんとなく。
あっ、私は、佐久間 彩葉です。
どうぞ、宜しく。」
「あっと、私は、右田 とも子です。
宜しくお願いします。」
と、言うと、また、笑われて
「ごめんね。宜しくされたくない
と、思うけど。」
と、笑いながら言う佐久間さんに
困っていると
「こいつ。君が気にいったみたいで。
昼、ずっと探していたんだ。」
と、イケメンの小川君
「凪、なんで、いっちゃうかな?」
と、ムッとしながら言う佐久間さん。
「早く、食べないと遅れるぞ。」
と、小川君に言われて
「あっ、本当だ。」
と、言いながら
バタバタと食べる佐久間さん。

だけど、美味しそうに食べる佐久間に
私も笑顔がでる。

この時から、
彩葉とずっと一緒にいる。

その後の遥君を失った彩葉

いつも、ニコニコ笑顔で
優しくて、がんばり屋で
正義感が強くて美人の彩葉が····

本当にボロボロで···
とにかく一緒にいた。
一緒にいないと·····
そばにいないと······
消えてなくなりそうで·····

彩葉の両親やお祖父様
お祖父様の側近の黒木さん
そして、彩葉の幼馴染みの小川君と
交代で離れずにいた。

私は、彩葉の家に
泊まり込んで過ごした。

遥君を失って自分を見失った
彩葉·····

でも····やはり遥君の力で
息をふきかえした。

彩葉を理解している遥君だから
出来た事だ。

凪に、
「彩葉が、俺がいなくなって
崩れるような事があったら
これを渡して。」
と、頼まれていたらしい。

凪は、そんな事あり得ない
と、思っていたらしい·····し

あまりの変貌した彩葉の姿に
その事を忘れていたみたいだけど。

その手紙を読んでからの彩葉は、
自分が、変わらなければ·····と
情けない自分を責め
何をやっているんだ、と苦しみ
遅れた勉強に焦り

本当に···大変だった····が····
彩葉は、それをやりとげた。

一緒に医学部を卒業出来た時は
一晩中、一緒に泣き明かした。

そんな、私達を
いつも、呆れながらも優しく
包み込んでくれたのが凪だ。

自分も大事な大切な親友を
亡くして辛かった筈なのに·····

私達は、「付き合おう」と
言い合って付き合い始めたわけではない。

彩葉に寄り添う内に
彩葉に寄り添うことに必死になって
自分の気持ちを置き去りに
している凪にも
寄り添っていて
いつの間にか、二人で寄り添っていた。

彩葉が、前向きに進みだした時に
改めて凪から告白を受けた。

まあ、あの顔で、あの高身長だから
凪は、モテル。

イケメンだし、
仕方ないとわかっていても
やきもちもやくし
嫉妬もする。
そんな自分が嫌だし
勉強も手につかなくなる

専攻が違うから
会えないことが多い

何度、別れようと···
思ったか、わからない·····

だが·····その言葉をだす度に
凪に却下されてきた。

惚れた弱みかな·····
< 50 / 85 >

この作品をシェア

pagetop