誰を?何を?見ているの?

☆☆父・隼人


事務長から
「中途ですが
採用したい人材がいるのですが。」
と、連絡があった。
「事務長から見てどう?」
「資格も取り実務経験もあります。
竹田製薬さんと小川先生からも
連絡を頂いている方です。
私としましては、良い人材かと。」
「凪が?珍しいね。」
「はい。私も驚きましたが。
竹田さんに言われたのでは、ないかと。」
「そう。会おうか?
    いつにする?」
「院長の時間で。」
「それでは、明後日の10時に。」
「わかりました。
    連絡致します。」
と、事務長から連絡をもらった。

ここ一、二年 事務長から
「事務長をおろして欲しい。」
と、言われていた。

もう、年だから、若い人に、と。
だが、 事務長程の人材がいなくて····

その事務長が言う人なら。
竹田製薬のMRも、きちんとしている
人だからな·····
決まりだな。
と、思っていた。

もちろん、女性だと思っていた。


事務長から連絡が着て
院長室で会う事に。

入ってきたのは······

「君は?」
と、言うと彼は、
その場で土下座をして
「何をしにきたのか、と
お叱りは覚悟の上です。
ですが、
こちらで、佐久間総合病院で
働かせて下さい。」
と、頭を下げる。

事務長は、驚きあたふたしている。

「頭を上げて、座りなさい。
事務長が、びっくりしている。
事務長も座って下さい。」
と、言うと二人は
「「失礼します。」」
と、腰かけた。

そこで、事務長には
経緯を簡単に話す。

それから彼・風間君の話をきく。

彼の行動や言動
彼の幼馴染みの行動や言動が
彩葉を傷つけ事には、
間違いない。

だが、妻・百合が
行った行動が
関わっていることは否めない

彼・風間君は、一緒にいれなくても
彩葉のそばで生きて行きたい。
と、言う。

彩葉の父親として
彩葉をこれ以上
傷つけてほしくない

なんとか、今、落ち着いている
彩葉を·····

だが、凪やとも子ちゃんの用に
幸せになって欲しい·····

遥を失い·····
風間君を失い·····

どうして···彩葉····だけ····
と、思わずにはいられなかった
父として。

事務長には、
「一度、私に預からせて下さい。」
と、言って事務長だけを院長室から
出てもらい。

彼・風間君に
「避けては通れないからね。」
と、言って百合に連絡する。

いつも、百合は穏やかで
ひまわりみたいな女性だ。
「百合?ちょっと院長室に来て。」
と、伝えると
「はい、は~い。」
と、返事をする百合に
顔が綻ぶ。

少しすると、ノックの音が
「どうぞ。」
と、言う。

入ってきた百合は
彼・風間君を見て
少し驚いた顔をしたが·····
直ぐに俺を見たから

俺は、経緯を話す。

風間君には、百合が来ても
動かずに座ったままで
いるように伝えておいた。

風間君は、下を向いていたが····

百合は、彼を見て
「頑張ってみたら?」
と、言った。

風間君は、びっくりした顔をしてから
真っ赤な顔で、涙をためた目で
「ありがとうございます。」
と、何度も俺達に言った。
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