祈りの空に 〜風の貴公子と黒白の魔法書
「……もしかして、『雷帝』を名乗ってここで働いているのは、呪いを解く魔法を探すため?」
 ギルドはそういう情報を手に入れやすい場所だから。そして、雷帝の時代の古い魔法について知っている誰かが、『雷帝』という名前にひかれてやってくるかもしれないから。
「そう。それと、あたしにした借金のカタに、ね」
 少しお道化て、イストは笑った。シルフィスも彼女に微笑んだ。
「この取引は僕に不利だ、ミストレス。こんな話、お金のために語り聞かせる気にはなれない。でも、もし、呪いを解く方法が分かったら、ナーザに連絡せずにはいられない」
「あんた、いい男ね。見た目だけじゃなくて」
 満足気な笑みがイストの顔いっぱいに広がる。
「あたしの思った通りだわ」
 シルフィスは立ち上がった。女主人に丁寧に辞儀をして、店を出た。
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