「んんっ」

 ゆっくりと目を開けて、ソファーから起き上がる。どうやら、あの後少し眠ってしまったようだ。窓の外を見れば、少し日が傾きかけている。……眠っていた時間は二時間ぐらいだろうか。

「でも、ゆっくりと眠れたわね。馬車の中だと、ぐっすりというわけにもいかなかったし」

 そう思って、私が視線を自分の身体に向けると、そこには毛布が掛けられていた。……クレアか、マリンかな。わざわざ私の身を案じてくれた二人に心の中で感謝し、私はゆっくりと立ち上がって伸びをした。

「シェリル様。お目覚めでございますか?」
「……えぇ」

 そして、私が起きて少しした頃。お部屋の扉が三回ノックされて、クレアとマリンが現れる。二人は相変わらずそっくりであり、左右のサイドテール以外に違いがない。……本当に、この二人を見分けるのは至難の業なのかもしれない。入れ替わっても、すぐには見分けられないだろう。

「クレア、マリン。ありがとう、わざわざ、毛布を掛けてくれたみたいで……」
「あぁ、それ旦那様ですよ」
「え?」

 私の礼を聞いて、クレアはあっけらかんとそう答える。その回答に、私が驚いて目をぱちぱちと瞬かせていると、マリンは「旦那様が、シェリル様のご様子を一度見に来られまして」と続けた。