しかし、文句を言っても仕方がないし、そもそも私には文句を言う権利がない。そう思い、私は目の前に並べられていくお料理を見つめる。焼き立てのパンを主食に、スープやサラダ。それから、メインのお肉料理。さらにはデザート。しかも、それぞれに数種類用意されている。……これ、いったい何人分かしら?

「シェリル嬢の好みが分からなかったからな。とりあえず、いろいろと用意させてみた。好きなものを、好きなだけ食べてくれ」
「え、えぇ……」

ギルバート様は何でもない風にそうおっしゃるけれど、そのお言葉を聞くに、これは私とギルバート様の二人分ということなのだろう。……私、こんなにも食べられないのだけれど? そうしたら、お料理が無駄になってしまわない?

「シェリル嬢。何か、不満があるのか?」
「い、いえ、そう言うわけでは……」

 私の戸惑いを見て、ギルバート様はそんな風に声をかけてくださった。不満は、ない。そう、不満は。……しかし、あえて言うのならばお料理が多すぎて無駄になる気がするというか……。きっと、使用人たちの賄になるのだろうけれど、毎回こんなにも作られたら……その、労力の無駄になってしまうというか……。

「あ、あの、私好き嫌いはないので、品数とか最低限で良いです……」
「そうか? まぁ、シェリル嬢がそう言うのならば、明日からは減らそう」

 うん、そうしてくださると、いろいろとありがたい。そんなことを考えながら、私は勧められるがままにサラダを口に運んだ。……みずみずしくて、とても美味しいお野菜。そして、お野菜の上にかかっているドレッシングも、とても美味。これだけで、ずっと食べられそうだ。