それから、六日後。私はリスター辺境伯爵家に到着した。途中、崖崩れが起きており遠回りを余儀なくされ、時間のロスをしたこと以外は平和な旅路だったと思う。

 リスター辺境伯爵家の屋敷は、とても煌びやかだった。さすがは王国でもかなりの権力を持つ辺境伯爵家と言うべきだろうか。庭だけでもかなりと広々としているし、屋敷は白を基調とした美しいものだ。ところどころ紫色があしらわれているのは、きっとこの家の色なのだろう。

「よし、行くか」

 それだけを小さくぼやいて、私はゆっくりとリスター家の屋敷がある敷地内に足を踏み入れた。御者は、私を降ろしてすぐに帰させた。彼は嫌そうな顔をしていたものの、それでも仕方がない。私と彼はここでお別れ。彼はこれからもアシュフィールド侯爵家で働き、私はここでメイド業を頑張る。それだけだ。

 庭を眺めながら、屋敷に向かって歩いていく。庭はとても広くて、なかなか屋敷にたどり着くことは出来ない。父はギルバート様にお手紙を送っているとおっしゃっていたけれど、実際どうなのかは知らない。だって、あの人は私が追い出されていくところがなくなっても、困らないもの。全く、薄情な親である。……まぁ、ずっと前から知っていたことだけれど。

 それから約十五分後。私はようやくリスター家の屋敷の前にたどり着くことが出来た。普通ならば、玄関のすぐ前まで馬車で移動するのだろうけれど、生憎私は歓迎されていない客人だ。そんな図々しいこと、出来るわけがない。そう思って、私は徒歩という選択を取った。