猫かぶりなカップル
母親は有名女優の藤岡佐織(フジオカ サオリ)で、1つ下の妹は人気アイドルの神城ゆず。
父親もアクセサリーブランドの社長らしい。
本人も小学校低学年くらいまで子役をやってたみたいだ。
あたしがこんなに猫を重ね着してこのポジションを得てるのに、何もかもが負けてる感じがする。
前に一度、あたしが移動教室の時、廊下で採点済みのテスト用紙を落としてしまったことがあった。
あたしの成績は下の方。
元々勉強ができないわけではなかったけど、成績が中途半端すぎて周りが特に何にも反応してくれなくて。
だからあたしは勉強をやめ、キャラクター作りとしてあえて頭が悪いポジションに行った。
そしたらみんな「くるみちゃんはしょうがないな~」ってチヤホヤしてくれるんだもん。
本当はそんなチヤホヤのされ方、何か小さいものにされてるみたいで嫌なのにやめられないから困る。
話がちょっと逸れたけど、とにかく、その落としたテスト用紙を拾ったのが神城だった。
『落としたよ?』
そう言ってあたしにテスト用紙を手渡す。
周りは『王子とくるみちゃんが喋ってる…!』ってキャーキャーしてたけど。
『あ、ありがとう…。恥ずかしいな』
あたしが言った。
『うん、ちょっと見えちゃって…ごめんね?』
神城はそう言ってニコッと笑ってそのまま去った。
そのときあたしは、その短い会話ことごとくにプライドを折られた気がした。
みんなあたしが成績悪いのを「ちょっとおばかなのが魅力だよね~」って言ってた。
だけど、あいつはむしろそれを恥ずかしいものみたいに『見えちゃってごめんね』って言ったんだ。
そんな風に遠回しに笑顔で馬鹿にされたことないもん…。
嫌い…。
嫌なこと思い出しちゃったな。
そんなあたしの気持ちには当然気づかず、スズナちゃんがうっとりとした表情で神城を見つめる。
「ほーんと王子だよねえ~。くるみちゃんと王子が付き合ったら最高のビッグカップルなのに…」
なんであたしがあんな男と付き合わなきゃいけないのよ…。
なんて言えるはずもなく、あたしは恥ずかしそうにはにかんだ。
「そんなことないよ~…。もう、からかわないで、スズナちゃん」
「そんなことないのに~! でも、くるみちゃんにはイケメンの大学生の彼氏さんがいるもんね」
スズナちゃんが楽しそうに言った。
父親もアクセサリーブランドの社長らしい。
本人も小学校低学年くらいまで子役をやってたみたいだ。
あたしがこんなに猫を重ね着してこのポジションを得てるのに、何もかもが負けてる感じがする。
前に一度、あたしが移動教室の時、廊下で採点済みのテスト用紙を落としてしまったことがあった。
あたしの成績は下の方。
元々勉強ができないわけではなかったけど、成績が中途半端すぎて周りが特に何にも反応してくれなくて。
だからあたしは勉強をやめ、キャラクター作りとしてあえて頭が悪いポジションに行った。
そしたらみんな「くるみちゃんはしょうがないな~」ってチヤホヤしてくれるんだもん。
本当はそんなチヤホヤのされ方、何か小さいものにされてるみたいで嫌なのにやめられないから困る。
話がちょっと逸れたけど、とにかく、その落としたテスト用紙を拾ったのが神城だった。
『落としたよ?』
そう言ってあたしにテスト用紙を手渡す。
周りは『王子とくるみちゃんが喋ってる…!』ってキャーキャーしてたけど。
『あ、ありがとう…。恥ずかしいな』
あたしが言った。
『うん、ちょっと見えちゃって…ごめんね?』
神城はそう言ってニコッと笑ってそのまま去った。
そのときあたしは、その短い会話ことごとくにプライドを折られた気がした。
みんなあたしが成績悪いのを「ちょっとおばかなのが魅力だよね~」って言ってた。
だけど、あいつはむしろそれを恥ずかしいものみたいに『見えちゃってごめんね』って言ったんだ。
そんな風に遠回しに笑顔で馬鹿にされたことないもん…。
嫌い…。
嫌なこと思い出しちゃったな。
そんなあたしの気持ちには当然気づかず、スズナちゃんがうっとりとした表情で神城を見つめる。
「ほーんと王子だよねえ~。くるみちゃんと王子が付き合ったら最高のビッグカップルなのに…」
なんであたしがあんな男と付き合わなきゃいけないのよ…。
なんて言えるはずもなく、あたしは恥ずかしそうにはにかんだ。
「そんなことないよ~…。もう、からかわないで、スズナちゃん」
「そんなことないのに~! でも、くるみちゃんにはイケメンの大学生の彼氏さんがいるもんね」
スズナちゃんが楽しそうに言った。