猫かぶりなカップル

離す距離と

ほとんど眠れないまま、次の日になった。



学校…サボっちゃおうかな…。



そう思ったけど、ファンの子達が心配し出して家にでも来られたら面倒なので、頑張って学校へ。



「おはよ! くるみちゃん!」

「おはよう」



クラスの子に、無理に笑顔を作って挨拶。



「王子にテストの報告できた?」

「あ~…。はは、うん!」



やばい、返答を完全にミスってる…。



いつもなら笑顔で「すっごく喜んでくれたよ!」って嘘つけるのに…。



やっぱ来るんじゃなかった…。



「なんか今日、くるみちゃん元気ない? 大丈夫?」

「そっ、そうかも? 朝からちょっと熱っぽくって…」



かわせないのでそう言ったら、クラスの子たちが心配そうにあたしの周りに集まってきた。



あー…面倒な展開…。



「保健室行ったら?」

「そっ、そうしようかな!」



あたしは保健室に逃げることにした。



もー…どのみち上手くいかないし…。



保健室まで付き添いに行くというクラスの子たちに「もうすぐホームルーム始まるし申し訳ないから大丈夫だよ~」と丁重に断って1人で保健室まで歩く。



保健室の扉をそっと開けた。



「くるみちゃん!?」



げっ…。



開けたら、クラスの男子…篠塚(シノヅカ)くんがそこにいた。



あたしの熱心なファンの1人。



割といつもうるさい人。



篠塚くんは保健の先生に足の膝の怪我を手当してもらっていた。



今他の人に会いたくないのに!



「し、篠塚くん大丈夫? どうしたの?」

「俺は朝練でちょっと怪我しただけ! それよりくるみちゃんはどうしたの!? 大丈夫!?」

「う、うん。ちょっと熱っぽくって…。先生、ベッド貸してもらってもいいですか?」



先生がいいと言うのでベッドのカーテンを開けた。



ちょっともう篠塚くんに関わってる余裕はない…。
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