独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
夜、帰宅した透哉さんに「ウエディングドレスの打ち合わせはどうだった?」と尋ねられ、「順調に進みました。細かいディテールも決まったので、次は採寸するそうです」と答えた。

採寸後は仮縫いに入り、試着してデザインやバランスを確認する。そして気になる箇所を修正し、本縫いをするそうだ。

「そうか。では次は俺も行かなければいけないな」

「はい。仮縫いができあがったら玲於奈さんから私のスマホにお電話をいただけるそうです。またご報告しますね」

「ああ」

「それから、ドレスの件とは別に、ご相談があるのですが」

打ち合わせの内容を伝えると、私は早速あの件を持ち出した。

「相談?」

「はい。実は私、働きに出たいと思っているんです」

透哉さんは虚を衝かれた顔をした。まさか私がそんなことを言い出すなんて夢にも思っていなかったのだろう。

理由はなにかと問われる前に、「社会勉強として……」と玲於奈さんの言葉を借りて付け加える。

「社会勉強か」

透哉さんは思案する顔になった。

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