虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 外に魔法の影響がないのを祈るしかない。影響下から出られさえすれば、ルブは兄と連絡を取り、アルトリシアとティトの状況を伝えられる。そうすればふたりはこの冷たい牢獄から抜け出せるのだ。

 ティトは動かないアルトリシアを心配するように短い尾を振って辺りを歩き回っていた。言葉はなくとも「助けられなくてごめん」と言っているのがわかる。

(ティトを怖がらせちゃいけないのに。私がしっかりしなきゃいけないのに……)

 かつて、何度も生家で味わった無力感と絶望がアルトリシアの心を覆っていく。

 意識が暗転する直前、アルトリシアは大好きな人たちの名を心の中で呼んだ。

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