虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 ティトは寂しさを通り越して怒っていた。

 顔を真っ赤にしながら目にいっぱい涙を浮かべて、城を出ようとするアルトリシアの袖をしっかりと掴んでいる。

「もうお城は危なくないよ。だからずっといればいいでしょ?」

「でも、私のおうちはパパのおうちだよ」

「やだ……」

 よほど納得がいかないのか、ティトは勢いよく首を横に振る。

「お姉ちゃんを守れるくらい強くなるから、ぼくと一緒にいて!」

 ティトはこんなにも必死だというのに、アルトリシアの頭の中でサフィとルブは笑っていた。

『ティトはよっぽどアルティが好きなんだな。今の、求婚みたいだった』

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