篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
『慧、迎えに来たよ。早く行こー!』
『おー、今行くから待ってろ』
幼稚園からの幼なじみが、玄関で俺を呼んでいた。
瑞季とちひろだ。
他に仲いい奴もいたけど、瑞季達は特に気が許せるし一緒にいてすげー楽なんだ。
そういえば、瑞季はこの時から面食いだったな。
放課後に街へ出て遊びに行くのが俺らの日常だったんだけど、途中で他校の可愛い女子とすれ違ったら120%ナンパしてたし。
別にナンパしなくても、向こうから寄ってくるのに。
それをちひろが「はいはい、行くよ」って引きずっていくのが面白かった覚えがある。
確かちひろは絶世の美少女って騒がれてたような……
今ほど性格は悪くない、至って普通の女子。
何か買うわけでもなく他愛もない話をしながら、街をブラブラ歩くのが楽しかった。
いつものように学校から帰って、
さっと私服に着替えまた出ようとした時――
『ちょっと待ちなさい』
お袋がリビングから出てきて呼び止める。