あなたに巡り会えてよかった…
お昼になり私は流石に今日はお弁当を持ってこれなかったので同僚の由紀とランチに出かける。
「未央、旅行どうだったー?バリだったよね?いいなぁ。」

「バリ良かったよー!またいきたいと思った。お寺を巡って、海に入って、パラセーリングして、ショッピングして…盛りだくさん。」

「アクティブだね〜!でも良かった。帰ってきたら表情がちょっと明るくなってるよ。安心した。」

「心配かけててごめんね。大丈夫。だいぶ吹っ切れた!そうそう、お土産あるよー。バリといえばネコでしょ。置物とアタで編んでるコースターでーす!」

「ありがとう。嬉しい。可愛いよね〜バリネコ。コースターまでもらっていいの?」

「もちろん。由紀にはいつもいつもお世話になってるから。」

「いえいえ。」

「由紀はバリ行ったことない?」

「ないよ。行ってみたいけどね。」

「おすすめするよー。お客様にも勧めたいくらい。」

「そうなのね。旅行1人でいつも寂しくならない?出会いとかないの??」

「…」

「あったの?!」

「…出会い、というか話した日本人はいたよ。」

「マジで?!向こうは1人?友達と?」

「1人っていってた。でも話したくらいで何もないよ。」

「ご飯とか食べなかったの?!」

「ないない。ビーチで話しただけ。それと、たまたま飛行機の座席が隣で少し話しながら帰ってきただけだよ。」

「飛行機もとなり?!運命的〜。」

「そう?」
 
「どこの人なの?」

「さぁ。」

「未央話したんでしょ?何話したの?どこの人か聞いてないの?アドレスは?」

由紀は矢継ぎ早に聞いてくる。

「世間話だよ。アドレスなんて知らない。そういえば名前も知らないや。何してる人かも聞いてないし、私も言わなかったわ…。」

「嘘でしょ?ホテルで話し、飛行機も隣だなんて運命感じなかったの?!」

由紀はなんだか興奮気味に話しかけてくるが私はちっともそんなこと思いもせず名乗りもしなかったなぁ。
そもそも由紀には言えないがホテルは話したんじゃなく泣いてただけだし…。
飛行機でまた会えてお礼が言えて良かった、くらいにしか思わなかったし。

「未央〜、絶対運命だったよ。飛行機でまた会うなんて私ならときめくかも。でも2度あることは3度あるっていうよね。次に会えたら連絡先交換しなよ。」

「3回なんてあるわけないじゃん。夢見すぎだよ。」

「もしそんなことがあったら、だよ。3回目があったらわたし興奮しちゃうわ。」

「もー、自分のことみたいじゃん。」

「私なら2回目で連絡先交換してます!!!」

「すみません…思いもつかなくて。」

2人で笑い合いランチを終えた。毎日、毎日お客様が旅立つのを手伝う仕事。
旅行が好きな私は、私の旅行計画かのように楽しみながらプランニングしていく。
チケットを取るだけのこともあるけれど本当に楽しい仕事だな、と思う。


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