私に恋を教えてください

勘違いからの……

「何してるのかな？君は……」
マネジメント事業部第一課の課長席。

その綺麗な顔の眉間に、緩くシワを寄せる須藤だ。目の前には榊原柚葉がいた。

すっかり、肩を落としている。
「申し訳ありません……」
須藤に頭を下げる柚葉だ。

須藤から受け取っていたスケジュール表の一部を、どうも柚葉が誤って入力してしまったようで、常務である村上侑也が約束と違う時間に客先にお邪魔してしまったのが、今日だ。

あいにく、先方が早くから準備していてくれて、
「あれ？今日の午後じゃなかったでした？」
とお互いの勘違いのような雰囲気で済んだから問題はなかったのだが。

──スケジューリングのミスは困る。
須藤はため息をつく。

「確認はしたんですよね？」
「はい」

確かに受け取ったスケジュールと、入力したスケジュールは、何度も照らし合わせたはずなのに。

けれど、実際それで上司に迷惑をかけてしまったことには間違いない。

柚葉は須藤に再度、頭を下げる。
「申し訳ありません」