【完結】打算まみれの恋

覚悟



 緊急時に避妊用のピルがあると保健でやったけど、あれは性的な暴行を加えられただとか、無理やり望まぬ妊娠をさせられそうだとか、それこそ避妊に失敗した人たちがするものであって、産婦人科に行けばいいからつけずにしますはやっちゃいけないことだ。

「すみません。医療用の針って置いてありますか?」
「注射の針ですか?」
「いえ、水膨れとか……ばい菌入らないような針で」
「すみません。そういうのは病院で治療していただくので取り扱い自体無いんです……。あの、ちなみに火傷はどちらに……」
「あっ。違うんです。人の肌に触れるものに穴をあけたいので、医療用の針があれば欲しいなって。すみません、ありがとうございました」
「そうですか……?」

 店員さんはお客さん……滝永さんに向かって怪訝な顔をして去っていった。彼は一人売り場で「裁縫用を消毒するか……」と無造作に消毒液をカゴに入れる。ダテ眼鏡をつけシンプルなモードスタイルで歩く感じは、地域密着型のこのドラッグストアで酷く浮いて見える。
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