あれから、少し若葉と打ち解けられたかもしれない。

 若葉は積極的に雅と話すようにしていたし、雅も、若葉に対する警戒心をほとんど解いていた。気付けば授業以外の時間も一緒に過ごすことが多くなっていた。

「なんか、最近あの二人よく話すようになったな」

 冬樹は二人を見ながらドリンクのボトルを一つ空にした。

 和気藹々と喋っている姿は、他の部員達も気付いていたのだろう。以前とは違う空気感を彼らも感じているようだ。

 あまり笑うことのなかった雅が声をあげて楽しそうにしているので、すぐに気がついたのだろう。

「そうか?」

 夏弥は納得しかねる様子だ。

「桜井さんも前に比べて、部に溶け込めたっぽいし」

「相変わらず若葉のガードはキツいけどな」

 若葉と話せるようになったからか、雅は以前よりも部活が楽しくなっていた。

 以前は興味ないものを覚えるのは大変だったが、一緒にやる人間がいると思えば、それほど苦痛には感じなくなっていた。



 若葉は、部室のスケジュールボードに書いてある今週の予定をチェックしながら手を止めた。

 明日の予定を見て、後ろで道具の整理をしていた雅に話し掛けた。

「ねえ、雅ちゃん。明日お花見……やっぱり無理そう?」

 スケジュールボードには明日の予定にお花見と書いてある。

 雅は少し考えた。以前は嫌だったが、今はそれほどには感じない。

「若葉ちゃんも……行くんだよね?」

「うん、もちろん。だから一緒に行きましょ?」

「……分かった。明日の何時?」

 オーケーを出したことに、若葉は喜んでいた。

「十時に、中庭裏にあるお花見スペースがあるでしょ、そこに集合ね」

 雅は頭の中で若葉の言葉を復唱した。

 本当は男ばかりの集まりは苦手だが、若葉もいるし、秋もいればそうそう話しかけられることはないかもしれない。

 正直花見はどうでもよかったが、せっかくこうして若葉と仲良くなったのだから、少しぐらい参加してみようと思った。