今は秘書の時間ではありません

社長困惑しています

食後にイチゴとコーヒーをお出しした。
なんだかお腹も満たされまったりとしてしまう。

「友永さん、リゾートホテルの計画があることは知ってるよね?君はどう思う?メリットはある?勝算はある?」

突然表情を引き締め社長は聞いてきた。

私は…
秘書という立場で社長に意見する立場にはいない。また私の仕事は意見するのではなく社長の進む道をサポートすることに徹すること。

でも…もし口を挟んでもいいのだとしたら…

「あの…もし私個人としての意見をお伝えしていいのだとしたら反対です。自分だとしたらあそこのホテルには泊まらないです。何しに行くのかわからないので。近くになにもないですよね。かと言ってホテルの中で数日満喫できるようなこともない。となるとあそこのホテルを利用する意味ってなんなんだろう、と思います。すみません。」

「いや、ごもっとも。そんなことは君だってわかるよな。」

「…」

「俺は社のことが全くわからないからみんなの動向を見させてもらったよ。俺のことを支えようとしてくれる奴らや蹴落とそうとして奴ら、美味しい汁だけ吸おうとしてる奴ら…みんなのいろんな顔を見せてもらった。」

なんだか怖い。
いつもの社長とは目の色が違う。

「室長の村上智己とは幼馴染だって聞いてるか?」

「はい。でもお見受けする限りあまり親しくはされていないのかな、と思っておりました。ただ、最近また近づいておられるので秘書として置きたいのかと…。」

「いや、秘書として智己を置くつもりはない。ただ、幼馴染として、室長として動いてもらってる。社の膿を出す為に。」

「…」

「俺もリゾート開発は反対だ。現実味がない。そんなのは誰の目から見ても分かることだ。だから俺はあのホテル建設を反対をしようと動いている。それにこのまま計画が進めば地元住民から裁判を起こされることも分かっている。リスクが大きいのに得るものはない。」

「はい。」

「室長補佐に入ってもらった橋本尚哉は俺の大学の先輩だ。尚哉とは年齢関係なく気が合い、智己と3人で起業しようと考えていたくらいなんだ。2人は俺の為起業を諦め、一緒に働いてくれることになった。尚哉には今、秘密裏に動いてもらっているんだ。」
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