今は秘書の時間ではありません

俺、社長辞めるわ。

「申し訳ない。こんなに君に迷惑をかけてしまっていたなんて。俺は社内を見極めるなんて大それたことを言える人間じゃなかった。そもそも君1人さえ繋ぎ止められないのにこれから社のみんなを引っ張っていけるとは思えないな。俺が社長を降りる。君は社に必要な人間だ。君が残るべきだ。俺は自分で自分が許せないから俺が降りる。」

「おい!」  
「一樹!」
2人が慌てて声を上げる。

「悪いんだけどひとまずお前たちで動いてくれ。会長と今後の相談してくるわ。」

「本気かよ!」

「もちろんだ。」

私は唖然として何も言えなかった…
私のせいで社長が辞めるの?!
そんな…

「一樹。そんな簡単に社長を降りるとか言ってはいけない。一度トップになった以上きちんと責任を持て。」

「そうだぞ。お前の肩に何千という社員とその家族がいるんだ。そんな簡単に降りるなんて口にしてはいけない。」

2人は社長を咎めているが社長には響かない。

2人の言う通り、社長になった限りはその責任を負うべきだ。
私1人辞めるのとは話が違う。

「社長。そういうことを軽々しく言ってはいけません。どこで誰が聞いてるかもしれません。あなたの発言は社員を不安にさせます。株価を不安定にさせます。社を揺るがす事態になりかねません。責任ある発言をなさってください。」

つい私までお説教じみた発言になってしまった。

「ならどう責任取ればいい?本当に心から反省しているんだ。」

「では今後に生かしてください。それでよろしいのではないでしょうか。」
< 33 / 108 >

この作品をシェア

pagetop