どうにもこうにも~出会い編~
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 彼の生着替えを薄目で見ている自分は少し変態かもしれない。きれいな逆三角形の広い背中とボクサーパンツに包まれたキュッと締まったお尻は40代とは思えない。前側も見たいと思ったが叶わなかった。上着を羽織る仕草もネクタイを締める仕草もかっこいい。


 はっ。彼が近づいてきた。寝ているふりをしないと。


 彼は私の頭に触れながら「行ってきますね」と囁いた。胸キュンである。

 起きて見送るべきだったのかもしれないと思ったが、こっそり生着替えを見てしまったいささかの後ろめたい気持ちもあって、最後まで寝たふりを決め込んでしまった。


 微かにシーツに残る彼の匂いと温もり。


たしかに彼と一夜を過ごしたのだという実感。


私は彼の恋人になれたのだという幸福感。


自然と口元が緩む。今、このときのこの気持ちを大事にしたい。

彼が去ってまだものの数分だというのにもう会いたいと思っている自分は、西島さんのことが好きで好きでたまらないのだ。

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