どうにもこうにも~出会い編~
 そうこうしているうちに駅に着いた。西島さんと私は同じ方面に住んでいることが分かった。西島さんの方が私の降りる駅より3駅ほど先だった。車内は夜遅いこともあって空いていた。

 「隣に座っても構いませんか」

 「あ、はい、どうぞ」

 てっきり普通に座ってくるのかと思っていたので、なんでそんなことを聞くのかと思った。しかも西島さんはしっかりと私との間ほんの少しの空間を空けて座った。この人は紳士なんだと思った。

ふわりと日本酒の香りが鼻腔をくすぐる。彼は鼻で深く息を吸ってゆっくりとその息を吐いた。呼吸に合わせて小さく上下する肩が横目に入る。なぜだかどきどきした。
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