「じゃあ……行ってきます」

「ん、行ってらっしゃい」

 そう言って頬にキスをする拓海くん。結婚してから間もなく一ヶ月。 わたしたちはお互い生活スタイルが違うけれど、こうして仲良く夫婦生活を送っている。

 拓海くんはいつも朝早くに出勤して、夜18時半過ぎに帰宅する。わたしはシフト制だから、朝は大体10時から19時までの出勤。遅番の時は12時から21時までの出勤だ。

 それぞれ出勤時間が違くて、なかなかすれ違いの生活ばかりだけれど、それでもわたしたちはこうして仲良く出来ている。夕飯はわたしが仕事に行く前や前日の夜に作っていく。

 そして掃除や洗濯はお互いに時間が出来た時に回したり干したりしている。だけどこれも立派な協力だと思う。出来る時に出来ることをやるとお互いに決めたのだから、それはそれで楽だ。

「あ、そうだ。今日は焼きそば作ってあるから、レンジで温めて食べてね。冷蔵庫に入ってるから」

「ああ、ありがとう。気を付けてな」

「うん」

 わたしは仕事に向かうため家を出た。駅に歩く途中、わたしはいつも左手の薬指の結婚指輪を眺める。