「拓海くん!」

 約束した時間よりも少し遅れてしまったけど、わたしは拓海くんの方に向かって走りながら手を振った。

「おお、光莉!」

「拓海くん、遅れてごめんね!ちょっとトラブル対応してたら遅くなっちゃった」

「いや、大丈夫だよ。 さ、行こう」

「……うん」 

 拓海くんからそう言われて手を握られたわたしは、思わずドキッとした。

「所で今日は、どこに食べに行くの?」

 と聞くと、拓海くんは「俺の行きつけの店。パスタが美味しい店なんだ」と言った。

「そうなんだ! パスタか……。楽しみだな」

「そこは、ボロネーゼがすごく美味いんだ。後セットで付いてくるコンソメスープが美味い」

「ボロネーゼ?いいね」
 
 ボロネーゼか、美味しそう!楽しみだな。

「光莉と結婚する前、同期とたまにそこに食いに行っててさ。 光莉にも教えてあげたくてさ」

「え〜嬉しい。ありがとう」

 と言うと、拓海君はこう言った。

「俺の好きなものは、光莉にも食べさせてあげたいなって思ったから」

 そう言われてわたしは、拓海くんに「ありがとう」とお礼をした。