数日後、学校で透くんを見つけた。今まで同じ学校に通っていたのによく気が付かなかったものだ。

 学校で見る彼の雰囲気は相変わらず少しだけ怖い。けれどあれだけ喋ったからもう躊躇いはなかった。

「透くんおはよう!」

「よぉ、上達したか?」

「この間やったばっかりだよ。そんなに早く上手くなるわけないじゃない」

「お前みたいなど素人寝る間も惜しんで練習しねーと勝てねぇぞ」

「いいもん、いつかは絶対勝ってやるんだから」

「ま、せいぜい頑張れよ」

 透くんは興味もなさそうに背を向けた。

 この間はそうは見えなかったけど、普段はドライなキャラなのかもしれない。

 予鈴が鳴って、私も急いで教室へ向かった。



 その日から私と透くんは時々学校で話す仲になった。

 たまにホテルにも行くけど、彼とは出くわさない。部屋にはいるのかもしれないけど、わざわざノックしてまで尋ねたりはしなかった。

 私は透くんと話すのが楽しくなっていた。会えばおちょくるようなことばかり言うし、相変わらず少し小馬鹿にした態度は癪だけど、本心から言っているわけじゃない。

 最初に会った時の彼が面白くて、気を許せて、だけどどこか掴めなくて────。

────そういえば、勝ったらなんでも言うこと聞くって言ってたよね。

 透くんみたいな性格の人が、言うことなんて聞いてくれるだろうか? 

 透くんがポーカーに強いかどうかはともかくとして、私が下手すぎる。正直頑張っても勝てる見込みはない。

 でも「なんでも」って言ってたし、どうせやるなら勝ちたいところだ。

 私はとにかく練習しようと思ってスマホで動画を見ながら一人で練習した。


      *


「透くん、勝負しない?」

 学校で透くんを捕まえることに成功した私は、早速勝負を持ちかけた。

「今日やんのか?」

「用事あるの?」

「部活あるから終わってからならいいぜ。部屋で待ってろ」

「部活なんてやってたんだ」

「《《健全》》な学生なんでな」

 絶対嘘だ、と思ったけどそれは敢えて言わなかった。私が告発すると私まで同罪になってしまう。

「ふふん、勉強した私の腕前とくとご覧に入れましょう」

「一週間そこら勉強しただけで俺に勝てると思うなよ」

「うるさいなあ! じゃあ透くんとの勝負のために何年も修行しなきゃならないの?」

「ま、意気込みだけは受け取っといてやる」

 透くんはまた私を小馬鹿にしたような笑みを浮かべて行ってしまった。

 私だって別に勝てるとは思っていない。まあ、運が良ければ勝てる、かもしれない。ぐらいの意気込みだ。

 本音を言うと、勝負よりも透くんとポーカーする時間が楽しいから言っただけだった。

 それは彼と私が似てるからかもしれないし、ただ単に性格が合うだけかもしれない。そして、彼に興味が湧いたからかもしれない。