愛され、囲われ、堕ちていく
破壊
「伊織…」
「だから、凪に俺はもったいないってことはないんだよ。逆はあるんだろうけど…
だからって、絶対放さねぇよ…!」
「うん…」
「凪?」
「眠くなっちゃった…」
「うん…おやすみ、凪…」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
パーティー当日。
「なんか、人多いね……」
伊織の手をしっかり握る、凪沙。

「離れるなよ、凪」
「離れたくないよ。
なんでだろ?パーティーって聞いたから、もっと楽しいの想像してたの。
でもなんか……怖い…」
「あーだってこのパーティー、裏取引みたいなもんだし」
「え……そうなの…?」
「大丈夫だよ。貰うもん貰ったら、帰るから!
とりあえず、白王のじじぃに挨拶だな」

「じじぃ」
「おぉ、伊織じゃねぇか!でかくなったな!」
「じじぃは、益々じじぃになったな」
「当たりめぇだ。黒江よりも10は年上だしな。
そっちの女が、嫁か!」
「あ、初めまして。凪沙です」
「へぇー。なんか…伊織にしてはいい女掴まえたな!
臣平の嫁と違う」
「まぁな」
「白井だ。黒江とは悪友でな。
まぁ、よろしくな!嬢ちゃん」
伊織の父・黒江もかなり恐ろしい男だが、ここにいる白井もかなりの恐ろしさがある。
内に秘めた闇のようなものが、漂っていた。

「嬢ちゃん、大変だな」
「え?」
「伊織は、とんでもないガキだからな。
昔から恐れを知らない。
愛情や恐怖は、伊織にはねぇからな」

「そんなことありません」
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