不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「健やかなるときも、病めるときも、お互いを愛し、敬い、助け合い、命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「──はい、誓います」
悠久のときを刻んだアンティークステンドグラスがきらめく、美しいチャペル。
純白のウエディングドレスに身を包んだ私の心は、黒く淀んでいた。
たった今、神父の問いに迷いなく答えたのは、これから私の夫になる男(ひと)だ。
私がこの世で一番苦手で、できれば一生、関わり合いたくないと思っていた相手。
「それでは、誓いのキスを」
だけど、ここまで来てしまったら、もう引き返せない。
私はリハーサルどおりに足を動かすと、因縁の相手とも言える〝彼〟と正々堂々、向き合った。